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古典品種の保存と増殖

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'桜貝'

'桜貝'は旧学名のConophytum springbokenseに対応する和名とされますが、ここでは選抜個体の園芸品種名としてシングルコーテーションで示しておきましょう。
C. springbokense = C. elishae (現在ではどちらもC. bilobumのシノニムになっている)ですから、コノフィツムハンドブックでは、先の'式典'と同一種という事になっています。

1973年のガーデンライフに、この品種の解説が出ているので引用すると・・
「裂葉は1〜1.5cmの長さで幅広く、竜骨部は赤味のある線となる。全体に暗緑の透明な小点が多数ある。花は黄色。強健種で古来からの有名種」
とあります。裂葉が幅広く扇型になり、赤味がさすことから「桜貝」に例えたのでしょうか。私が藤沢の紅波園で買い求めたのは'式典'と同じころですが、この写真の個体は長野の錦園より「古来種」として譲り受けた方から分与いただきました。形態上の比較や栽培したときの性質など比較すると同一クローンのように思われましたが、念のため別クローンとして扱っています。この当時で古来からの有名種というのですから、ひょっとすると戦前からの生き残り個体なのかも知れません。

強健で古くからある品種は、趣味家には面白くないものとして扱われるためか、長い年月が経つうちに失われてしまう事があります。確かに珍奇なものではありませんが、今、珍奇なものとて時が経てば陳腐なものになってしまいます。先人が遺した丈夫で美しい選抜個体は、やはり大切に保存しておきたいものだと思い、保存と少しばかりの増殖に努めています。
by conocono123 | 2006-11-18 21:07 | メモ(備忘録)
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