カテゴリ:メモ(備忘録)( 18 )

コノフィツムの内部形態

挿し木方法番外編で紹介した「齧られたコノフィツム」には開花後のものもあったので、花はどのように出て来ているのか、内部はどうなっているのかを知るために解剖してみました。
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花茎は球体下部から伸びており、その途中に「苞」(bract)が付いている事が判ります。生長が良い個体では、1つの球体から複数の花が出て来ることがありますが、恐らく1つの苞の中に複数の花が形成されるのでしょう。機会があれば観察してみたいと思います。

植物形態学では、コノフィツムを含むハマミズナ科(ツルナ科)の花では、萼と花弁の区別は無く、雄しべ雌しべを保護する程度に退化しているのだそうです(写真↓)。
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すると、あの黄色やピンク色などに色付いて我々の目を楽しませてくれるあの「花」は何なのだ?という事になりますが、雄しべが変形した「仮雄蕊」と呼ぶのだそうです。正常な雄しべは「花糸」と「葯」から出来ていますが、仮雄蕊では葯が発達せず、花糸だけになっています。コノフィツムでは、仮雄蕊が幅広になって着色しているということになります。
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by conocono123 | 2007-11-03 14:09 | メモ(備忘録)

苗の購入

私のコノフィツム栽培歴は、タビ型を主とした園芸品種の栽培から始まりました。丈夫で安価なものを50種類ほどを集めて楽しんでいましたが、園芸品種には似たような種類も多く、次第にマンネリ化して行きました。そのような中だるみの頃に衝撃を与えたのが、ハマー氏が1993年に発行したコノグラフでした。それまで見た事も無いような原種が数多収録されていて、子供の頃に初めてコノフィツムを見た時の衝撃に匹敵するような驚きがありました。また、300種以上あるとされていた原種ですが、その違いや系統的な関連付けにしっくり行かないものを感じていた私としては、そのすっきりとした分類体系にも驚かされました。ハマー氏以前の、個体差程度のものに名前を付与しているようなやり方は、遅かれ早かれ理解者を失って行くように思われました。

さて、コノグラフで初めて目にした原種はどのようにしたら手に入るのか? それを解決してくれたのがメサ・ガーデンです。今はインターネットでカタログを見る事が出来ますが、10年程前に初めて注文した時は、まだ手紙を書いてカタログを取り寄せ、注文書を郵送するという古典的なスタイルでした。届いた種子の発芽率に一喜一憂し、またタネからの栽培方法に慣れていなかったために全滅させてしまったりと、曲がりなりにも大きく育てられるようになるには数年を要しました。メサの種子リストには、日本のナーセリーではほとんど扱っていない多くの原種が載っていて、私のコレクション欲を大いに満足させてくれましたが、それでもいくつかの種類は種子リストに載ることがありませんでした。それを補ってくれるのが、2000年頃に知ったMesemb Study Groupの種子頒布でした。また、その会報誌には専門のナーセリーの広告も出ていて、種子では手に入れにくい種類の苗が販売されていました。今は、メサからの種子とナーセリーからの苗の二本立てで原種の蒐集に力を入れています。
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上の写真は今年の購入品です。
左でピンクの花を着けているのが最も欲しかったミラビレ(C. mirabile)で、ステファニーのボディーにミヌスクルムの紫花が乗ったような印象のものです。高価でしたが、2株購入し、我が家の実生1株と合わせて、種子が採れるようにして行けたらと思います。右から2列目下の2株はジャルミラエ(C. jarmillae = C. danielii)で、産毛やザラ肌のものもあるようです。この2種が今回の目玉でした。

種子をメサから購入するようになって丁度10年になります。タビ型園芸品種が多かった私のコレクションも、この10年で飛躍的に多様性が増し、多くの基本種が集まりました。しかし、今でも入手困難な種類があります。それは、コノフィツムハンドブックに掲載されているような選抜個体です。特にオブコデラムの選抜個体は何カ所かのナーセリーを巡っても見かけることはありませんでした。もし長い年月をかけて選抜された美しい個体が既に失われてしまったのであれば、それはとても残念なことです。個人の蒐集家の棚で元気にしていることを祈ると共に、私が持っている個体も大切に維持して行きたいと考えています。
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by conocono123 | 2007-10-07 16:28 | メモ(備忘録)

コレクションの楽しみ

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玉型メセン類も開花期を迎え、我が家のコノフィツムコレクション達も次々に花を咲かせ始めました。我が家には2~300種類のコレクションがありますが、大きさ、色や形、花の色や開花期の異なる多様な種類を集めることは大きな楽しみになっています。

子供の頃は、安くて丈夫な園芸品種を10品種くらい買うことを手始めに、植木市で偶然見つけたものを買ってみたり、通信販売で安価なセットを取り寄せたりと、読書における濫読状態でした。その中では、正直言って失敗したなあと思う買い物もありました。所詮趣味ですから「コレクションとは~~でなければならない!」というつもりはありませんが、これからコノフィツムの栽培やコレクションを始められる方のために、これまでの経験から参考になりそうな事を何点か書き留めておこうと思います。

1.栽培の簡単なものから始める
 コノフィツムは休眠期と生長期があるため、栽培にはちょっとしたコツが必要です。いきなり難物に挑戦して直ぐに枯れてしまっては、熱意も興味も急に冷めてしまいます。安価で普及している園芸品種は丈夫なものが多く、コレクション入門には最適だと思います。初心者には難しいものとして、Cheshire-feles節(ブルゲリ等)、Cataphracta節(カルキュラス等)があります。

2.一遍に沢山集めない
 コノフィツムは高価な植物ではありませんから、50種類とか100種類を一遍に集めることも難しくはありません。ただ、沢山の種類を集めてしまうと同時に熱意を失ってしまう人が不思議に多いように思われます。栽培の楽しさを知る前にコレクションで満足してしまうのはちょっと勿体ない気がします。

3.園芸品種と原種
 コノフィツムの園芸品種は「特定の個体」を指します。原種から選抜したものや、原種同士、園芸品種同士を交配して人為的に作出されたものです。原種からの選抜個体は当然「原種」と言えるのですが、選抜過程で他の種との交雑があったかどうかの検証が困難なため、基本的には園芸品種と考えておいた方が良さそうです。学術的には、園芸品種名は'花園'のようにシングルコーテーションで括って表記するという約束があります。もちろん、趣味家が学術的な決まり事を守る必要はありません。
 これに対して、原種は「特定の特徴を持った個体の集団」と考えられます。特徴の程度によって、種(species = sp.)、亜種(subspecies = subsp. =ssp.)、変種(variant = var. =v.)、品種(forma = f.)、と学名のランク付けが異なります。形質には幅があるため、同じ学名でも個体が違えば形質も少しずつ違うものです。また、ここで言う「品種」は園芸品種とは異なります。
 ここ10年ほどで、フィールドナンバー(採集地ナンバー)が付与された原種の入手が容易になり、また比較的高価に取引される場合もあるようです。しかし、学術的な調査を目的とするのであればともかく、趣味家としては先人が選抜命名した個体を入手した方が本来の目的にかなうかも知れません。選抜を経ない原種は色々な面で凡庸である事がほとんどです。

4.学名や園芸品種名の同定をしない
 園芸店で販売されているものの中には、名札が無いものが多く見受けられます。また、自分が栽培しているものでも、名札の立て忘れや鳥のいたずら等で紛失してしまっているものが出ることがあります。これら名札が無くなってしまった株を一般的には「札落ち(ふだおち)」と呼びます。植物の名前を判定することを「同定」と言いますが、学名にしろ園芸品種名にしろ、同定には専門の知識と経験が必要です。もし手元に札落ち株があったとしても、趣味家が図鑑との照合だけで名前を付けるのは厳に慎みましょう。いい加減な同定であったとしても、ひとたび名札を立ててしまえばそれが一人歩きしてしまいます。友人に分けてあげたものが、生産者に渡って拡大再生産される場合もあるでしょう。現に、古い園芸品種では同名異株が多数存在しており、どれがオリジナルの個体であったのかが判らなくなってしまったものもあります。
 
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by conocono123 | 2007-10-04 00:37 | メモ(備忘録)

写真掲載を急いでいます

毎月数種のペースで1種ごとに詳しく紹介しようと考えていたのですが、まずは図鑑としての機能を優先的に充実すべきでは無いかと考えを改めました。そのため、しばらくの間は、説明文の無い写真だけの記事が続くことになろうかと思います。
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by conocono123 | 2007-06-30 00:46 | メモ(備忘録)

挿し木

今年も大晦日になってしまいました。
あれもやりたい、これもやりたいで、実際のところ消化率は50%以下でしょうか。実生は9月下旬〜10月上旬に完了した上、温暖な天候が味方してくれて、今年は比較的成績良好。挿し木も早めにやっておいたので、これまた成績は良い感じです。

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写真は、今年、具合が悪くなった群生株をバラバラにして挿し木した苗床です。画面の大部分を占めるコマ型品種は'ルゴサ'。平たい形のコノフィツムは、挿し木する時に球体の半分くらい培養土に埋めてしまいます。根元に小砂利を敷かなくても大丈夫です。
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by conocono123 | 2006-12-31 00:51 | メモ(備忘録)

種まき

リトープスのMix種子をイギリス旅行から帰った友人からお土産にもらったのが、メセン実生の始まりでした。数本発芽したものの、どう管理して良いのかも判らず、2年ほどで溶かしてしまいました。あまりの種子と実生苗の小ささに、それ以上チャレンジするにも基本的知識すら無く、やはり株分け苗を買うのが無難だと決め込んでいました。だいたい、メセンの種子がどこで手に入るのかすらも知りませんでしたけど。

10年ほど前にメサガーデンで多種のメセン種子が販売されている事を教えてもらいました。恐る恐る30種ほど購入して以来、ほぼ毎年買っては播いています。管理ミスなどで全滅させてしまった事もありますが、今年は比較的成績が良い方です。
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写真: C. maughanii 実生2ヶ月

草花の実生の生長の速さを見慣れてしまうと、メセンの実生苗の緩慢な生育は、我慢力の限界を試すようだと思うことがあります。しかし、実生の頃にしか見られない愛らしさや美しさ、少しずつ大人の顔に近づいて行く様子を見ていると、待つ事も楽しみのうちだという事が良く解ります。親株を買ってくれば手っ取り早く楽しむ事が出来ますが、手っ取り早く済ませたおかげで失われてしまう楽しみもあるのだという事もまた分かりました。
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by conocono123 | 2006-12-22 00:51 | メモ(備忘録)

古典品種の保存と増殖

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'桜貝'

'桜貝'は旧学名のConophytum springbokenseに対応する和名とされますが、ここでは選抜個体の園芸品種名としてシングルコーテーションで示しておきましょう。
C. springbokense = C. elishae (現在ではどちらもC. bilobumのシノニムになっている)ですから、コノフィツムハンドブックでは、先の'式典'と同一種という事になっています。

1973年のガーデンライフに、この品種の解説が出ているので引用すると・・
「裂葉は1〜1.5cmの長さで幅広く、竜骨部は赤味のある線となる。全体に暗緑の透明な小点が多数ある。花は黄色。強健種で古来からの有名種」
とあります。裂葉が幅広く扇型になり、赤味がさすことから「桜貝」に例えたのでしょうか。私が藤沢の紅波園で買い求めたのは'式典'と同じころですが、この写真の個体は長野の錦園より「古来種」として譲り受けた方から分与いただきました。形態上の比較や栽培したときの性質など比較すると同一クローンのように思われましたが、念のため別クローンとして扱っています。この当時で古来からの有名種というのですから、ひょっとすると戦前からの生き残り個体なのかも知れません。

強健で古くからある品種は、趣味家には面白くないものとして扱われるためか、長い年月が経つうちに失われてしまう事があります。確かに珍奇なものではありませんが、今、珍奇なものとて時が経てば陳腐なものになってしまいます。先人が遺した丈夫で美しい選抜個体は、やはり大切に保存しておきたいものだと思い、保存と少しばかりの増殖に努めています。
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by conocono123 | 2006-11-18 21:07 | メモ(備忘録)

コノフィツム栽培の歴史

先日、ヤフーオークションの書籍・雑誌を検索していたら、1973年(昭和48年)のガーデンライフ(知る人ぞ知る園芸雑誌)が何点か出品されていて、その中にコノフィツム特集(12月号)があったのでついつい購入してしまいました。図書館でも読めるのですが、やはり1冊手元に置いておきたいのがマニアというものでしょうか。分類など、既に古くなってしまった内容もありますが、ブームだった当時の様子を伺い知る事が出来、とても興味深いものです。この中に大西善明氏による「コノフィツム栽培の歴史」の記事がありましたので、概略を引用しておきましょう。

1922年(大正11年)  N.E.Brownがコノフィツム属(円錐形植物の意味)創設
大正末期〜昭和初期   日本に渡来
1931年(昭和 6年)   業者のカタログ及び同好誌に「コノフィツム」の名前が登場
1935年(昭和10年)  このころが戦前の輸入最盛期
1940年(昭和15年)  このころ80余種が栽培されていた
  -- 戦争による中断 --
1955年(昭和30年)  カタログに30〜50種がみえる(戦争を生き残った品種)
1960年(昭和35年)  このころ輸入再開
1964年(昭和39年)  正木五郎、田中喜佐太著「女仙」(錦園のサイト参照)刊行
  このころ田中喜佐太氏による'安珍'、'朱楽殿'、'紫雲殿'、'銀河'等の交配品種の作出
1966年(昭和41年)  日本コノヒツム協会誕生(注:原文のまま)
1970年(昭和45年)  このころまでに300種近くが株や種子で輸入。趣味家急増
1973年(昭和48年)  ガーデンライフ誌(この号)に特集

1973年の時点で、コノフィツムの分類で有名なヤコブセン氏は370余種* の原種を記載しており、これに加えて日本で選抜された個体や交配品種に二重三重に和名が付けられて、「正に戦国時代の様相」と、名称の混乱状態を示す記述も見られます。恐らくこのころがブームのピークで、生産過剰になっていったのでしょう。以前聞いた「増やし過ぎて困り、佃煮にしようと思った事もある」という業者の話もこの頃の事だと思われます。そしてその後は凋落の一途をたどることになったのでは無いかと想像しています。品種名の混乱はブームの後も続き、現在も拡大再生産しているようです。特に古いタビ型品種では、同じ名前で種々のタイプ、果ては花色の違うものまで出回っています。

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写真は'式典'
1977年頃、藤沢の紅波園より通信販売で購入したものです。正木五郎、田中喜佐太著「女仙」に登場する写真や記述と一致する個体です。'式典'は旧学名であるConophytum elishaeに対応する和名とされていることから、特定の個体を指す名称では無いようで、この個体だけを'式典'と呼ぶのは間違いなのかも知れません。


*) 原種数については、Steven Hammer氏は2002年に変種を含めて約160種としており、半数が絶滅したかのように見えますが、分類基準の見直しにより独立種だったものが品種レベル以下に統合されたことによります。
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by conocono123 | 2006-11-17 01:03 | メモ(備忘録)